「プリキュアめ、いつもいつももう少しという所で邪魔し追って…だが、次はこうはいかんぞクックックッ」
 悔しそうに独り言を言っているのはラビリンスのクラインであった。
クラインの手には少量の液体が入った小さな小瓶があった。
この液体はクラインが開発した物で、これを飲んだ者はクラインに惚れてしまい、どんな無理な事でもクラインの
言いなりになってしまうというとんでもない薬だった。
しかし、この薬はあくまでも試作品である効果がどのくらい持続するかは謎だった。
「ムムム~、この量ではプリキュア4人に飲ませるのは無理だ、誰か一人に飲ませてチームワークを乱す作戦で
 いくか、今回は私が直接手をくだしてやる……」

ブッキーこと山吹祈里(キュアパイン)は白詰草女子学院中等部に通う中学二年生。
父は獣医で動物病院を経営していた。
子供の頃から色々な動物たちと接してきた、今日も入院中の犬の散歩の為、近くにある大きな公園に来ていた。
そこへクラインが現れた。
「あれはキュアパイン……今回はあいつで試してみるか」
 クラインは祈里が飲んでいる缶ジュースに、薬を混ぜた。
「早く飲みに戻ってこい、そしたら…ふっふっふっ…言いなりにして色々実験させてもらうぞ」
 クラインは近くの繁みに隠れて、祈里がジュースを飲みに戻ってくるのを待っていた。

犬と遊び喉が渇いた祈里は飲み物を飲む為に戻って来た。
クラインの目は飲み物を飲む祈里にくぎ付けになっている。
(そうだっ! 飲めっ! グビグビッと飲むんだっ!!)
 心の中で叫びながらクラインは身を乗り出してしまいそうになるほど、力強く心の中で思った。
祈里は何の疑いも持たずのゴクゴクッと飲み物を飲みほした。
(やったっ! キュアパインに薬を飲ませるのに成功したぞっ!!)
 クラインは飲ませただけで大喜びをしてしまい、当初の目的を忘れてメビウス本部に戻ってしまった。

「ふーっ、あー楽しかった! そろそろ帰らないとまずいわね」
 祈里は犬にハーネスを着けて、病院へ帰って行った。
「ああ~っ!! 何をしているのだ私はっ!! 飲ませたらその場で効果を確認しなければ意味がないではないかっ!!」
 クラインは慌ててさっきの公園に戻ったが、祈里の姿は何処にもない。
「ならばっ! 薬が効いていれば何処にいようと私の念波を感じ取って、私の元まで来るだろう!」
(公園に来るのだ……今すぐ公園に来い……公園に来い……公園に来い……)
 クラインは心の中で何度も強く念じた。