神の民の里、イゴルタプ様の力によって授かった『デビルモード』という技。
それは、魔物あらゆるステータスがアップする、かなり強力な技だった。
そのため、強大な魔物相手でも短時間で倒すことできるようになり、
私は強力なアタッカーとして戦闘面でパーティーを引っ張ることができるようになった。
…けれど、その技にも1つ、誰にも言えないデメリットがある。
始めは気のせいだと思っていたけど、デビルモードを使う度に高まる感覚を流石に認めざるをえなかった。
そして今も…私はデビルモードの副作用を静かに堪えている。

「ネルセンの試練も、あと一回で攻略完了かしら?ここまでは、結構サクサク攻略できているわね」

「ふむ、やはり皆がパワーアップしたのが大きいじゃろうな。じゃが、油断大敵。
最後まで気を緩めることがないように、しっかり準備してから臨もうぞ」

「そうだな。装備の見直しとかチーム構成とかも、考えておかねぇと…」

「………」

第4の試練を終え、各試練の入口がある広場に戻ってくると、みんなは思い思いに会話をし始める。
このまま、全ての試練を乗り越えるつもりで会話が進んでいるけど…正直、私は一旦宿で休みたい。
その意思をいつ伝えるべきか?そもそも伝えていいものか?考えあぐねていると、シルビアが私の顔を覗き込んでくる。

「マルティナちゃん、疲れちゃってる?」

その声にみんながそれまでの会話を止め、一斉に私へと視線を向けてくる。
他意はないとわかっていても、気まずさやら恥ずかしさやらがこみ上げてきて、顔を上げるのが精一杯。まともにみんなの顔が見えない。

「我慢しなくていいのよ、少し休むくらいの猶予はまだあるわ」

「さっきの試練内の戦闘でも、デビルモードという技をたくさん使ってくださいましたし…疲労も溜まっていらっしゃいますよね。
気が付くことができず、申し訳ありませんわ」

「そ、そんなことないわ。気を遣わせてしまってごめんなさい」

なんとか平然を装い、言葉を返す。
この副作用を知られたら、絶対みんなは使わないでと言ってくる。そしたら、パーティーの火力は大幅ダウン。
みんながダメージを受ける機会が増えてしまう。だから、知られるわけにはいかないわ。

「姫のお体には相当な負担がかかっている。ここは一旦、地上に戻って宿で休まないか?」

グレイグ、ナイス…!
女神像の近くで野宿じゃ処理できないから、宿に行きたかったのよ…!珍しく気が利くじゃない!

「そうだな。新しい武器のレシピをもらえたし、素材集めもしたいからな」

「うむ、そうと決まれば、宿屋に向かうとするかの」

ロウ様の声で、みんなが地上に向かって足を進める。
良かった…これでなんとか、この処理ができそう。宿までの辛抱よ、マルティナ…!
私は意識がそちらに向かないように歩くことに専念する。