生贄という言葉は恐怖の言葉である。
生贄の二文字を見て胸が高鳴るのはヒロピンマニアくらいであろうか。

謎の仙人が村一番の美少女を生贄として差し出せと要求してきた。
断るなら村の女を次々略奪すると脅してきたのだ。
いくら村を救うためとはいえ娘を生贄に差し出す親はいないし本人が絶対に嫌だろう。

その頃、日暮かごめは、一緒にいた犬夜叉たちとはぐれてしまい一人で森の中を歩いていた。

「犬夜叉! 犬夜叉!」

きれいな長い黒髪にセーラー服の美少女。
スカートの丈は挑発的に短いが、かごめはまじめで正義感の強い女子だ。

「犬夜叉! 弥勒様! 珊瑚ちゃん!」

弓矢を背負っているとはいえ一人の時に妖怪に遭遇したら困る。
かごめは心細い思いで犬夜叉たちを探した。

村の見張りをしていた男たちは、弓矢を背負った少女が歩いて来たので身構えた。

「見ない顔だな」
「変な着物を着ている。しかも弓矢を持っているぞ。怪しい」
「止まれ!」
「え?」かごめはドキッとしたが妖怪ではなく村人なのでホッとした。
「怪しい奴」
「待って」かごめは両手を出した。「あたしは決して怪しい者ではありません」
「どこから来た?」男が怖い顔で睨む。
「旅の途中で。仲間とはぐれてしまって」

それにしても美しい。
とびきりの美少女ではないか。
これほど可憐な娘は村にはいない。
男たちはひそひそ話を始めた。

「これはもしかして、天からの贈り物ではないのか?」
「贈り物?」
「この娘を生贄にするんだ」
「なるほどその手があったか」

「名は何という?」男が聞いた。
「かごめ、ですけど」
「かごめ殿。頼みたいことがあるので来てくれないか」
「あ、はい」

少し不安もあるが村人だから大丈夫だろうと思い、かごめはついて行った。
小屋に通されると、男たちがいきなり土下座した。

「え?」
「かごめ殿。生贄になってもらえないだろうか」
「生贄!」かごめは目を丸くする。

事情を聞いたかごめは勇敢に言った。

「そんな脅しに屈しちゃダメよ。大丈夫。あたしの仲間は妖怪退治屋だから。そんな愚かな脅迫をするのはきっと妖怪よ」