僕が冒険者となり、このアクセルの街の冒険者ギルドに通い始めてからもうすぐ3ヶ月が経つ。やはり駆け出し冒険者、簡単なクエストでも最初は命を何度も落としかけた。おまけに報酬だって高くはない。正直、ギルドに通うのをやめたいと思ったのも一度や二度じゃない。
そんな中でも今日まで頑張ってこられたのにはある理由があった。
3ヶ月も冒険者を続けていれば、それなりに難しい仕事もこなせるようになる。けど僕が今から挑もうとしていること。それはこれまで経験したどんなクエストよりも大変なものになるという確信があった。
緊張しているせいか、挑む前から僕の鼓動は早鐘のように鳴っている。掌が汗で湿り、脹脛が脈打っているのがわかる。自分では意識できないが、きっと瞬きも尋常でなく増えているのだろう。
それでもやらないわけにはいかない。冒険者となり、厳しい闘いの日々を送ってきた僕にとってかけがえのないもの、そして避けては通れない道。
ようやくの思いで覚悟を決め一歩踏み出す。歩んでいく足取りが自然と速くなるが、今の自分にそんなことを気にしている余裕はない。
そして相手の前に辿り着くと、今までで一番緊張した声で言った。

「ゆんゆんさん!僕と付き合ってください!」

冒険者ギルドで彼女、ゆんゆんさんの姿を見たのは3ヶ月前。僕が冒険者になって最初のクエストに行くかどうか決めかねているときだった。
駆け出し冒険者ゆえのクエストへの不安感、何から始めれば良いのか分からないという焦燥感、そんな思いを抱え悶々としていた僕に、彼女は優しく声をかけてくれた。

『冒険者さんですか?受付のお姉さんに聞けば、オススメのクエストを斡旋してくれますよ。最初は簡単な依頼でも経験値がどんどんたまります。焦らずに頑張ってくださいね。』

華やかだけど芯のありそうな立ち姿、包み込んでくれるような優しい声、そして何より天使のようなその笑顔。それから彼女のことが忘れられず、1日中気もそぞろだった。おかげで直後に出かけたクエストでは、ボーっとしてしまい危うく失敗しかけたほどだ。ともかくこの出会いは僕が彼女に心を奪われるには十分すぎる出来事だった。
その日以降僕は彼女に会いたくて、毎日のようにギルドに通うようになった。これまでは話しかけることなどできなかったが、日に日に膨らんでいく彼女への想いを抑えられなくなっていった。
そして今日、ついに彼女への告白を決行したというわけだ。