「西片、勝負しよっか?」

突然私から投げかけられたその言葉に、同じクラスの男子である西片は困惑を隠せなかったようだ。と言ってもフリーズ状態というわけではなく、驚きはしたものの冷静な口調で返してくる。

「…勝負って何?高木さん」

これまで私はこの西片を、色々な方法でからかってきた。単純に彼の気を引きたいからというのもあるが、いちいち見せる彼の反応が面白いからというのも理由の一つだ。
それでも繰り返し同じようなことをしていれば慣れてくるもので、最近では彼も少しずつだが、余裕のある対応を見せるようになった。ここらで一つ新しい展開を加えてみるか…。

「それは放課後になってからのお楽しみ。授業が終わったら教室で待っててね」
「…う、うん。じゃあ…待ってる」

そう言ったその日の放課後、彼は言われた通り教室で私を待っていた。可愛いやつだ。目が合うと、早速私は声をかける。

「お待たせ…。じゃあ行こっか」
「え…?行くって、どこに?」
「勝負のステージ。さっ行くよ!」
「えっ??ちょっ…高木さん??」

混乱する西片の手を半ば強引に引き、私は目的の場所、授業後の体育倉庫へと向かう。今日は運動部が休みの日だし、下校時刻までなら誰も来ないことが保証されている。
目的地に着くと扉を閉め、くるりと彼の方に向き直って私は言った。

「それじゃ勝負しよっか。ルールは簡単。今から下校時間までの間に、先にイった方が負け。下校時間になって先生に見つかったら二人とも負け」

一瞬私が何を言っているのかわからなかったのだろう。西片は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして立ち尽くしている。私はさらに続けた。

「もちろん『イった方』っていうのは、エッチな意味でね。つまり、今から二人でエッチなことをして、先に絶頂しちゃった方ってこと」

さっきとは打って変わって顔を真っ赤にする西片。それでもようやく思考が追いついてきたのか辿々しい口調で反論してくる。

「えっ?えっ??なっ何言ってるの高木さんっ??」
「もっと分かり易く言う?今ここで、2人でエッチするの。西片はイカされたり下校時間になったりするまでに、私をイカせればいいんだよ」
「でっでも、こういうのは好きな人とするもんなんじゃ…」
「だから西片なんだよ。それとも西片、私とじゃ嫌?」

言葉を詰まらせ下を向く西片。それが何を意味するのかわからない私ではない。一気に畳み掛ける。

「嫌じゃないなら…私から仕掛けちゃおうかな」