目的を果たした後の帰り道、僕の意識はふわふわと何処かに行ってしまっていた。別に頭を強く打ったとか、危険な薬を使ったとかじゃない。僕がやったのはただ一つ、ある人物にある言葉を伝えただけだった。
その人物は僕の顔を見た時、ぽかんと不思議そうな顔で見つめてきた。とはいえその時の僕に余裕などなかった。顔を真っ赤にし、少し涙まで浮かべて僕は言った。

「ダージリンさんっ!好きですっ!僕と付き合ってください!」

僕が聖グロリアーナ学園戦車道部の隊長、ダージリンさんに出会ったのは今から半年前。僕の学校と聖グロリアーナ学園との練習試合でのことだった。戦車道が女性の嗜みとされているのは知っていたし、彼女の学校がその道の名門だということもわかっていたが、僕自身戦車道に興味があったわけではない。だからその練習試合を見に行ったのも、ほんの気まぐれのようなものだった。
そしてそこで僕が見たもの、それは有名部隊の隊長として華麗に振る舞い、第一線で活躍するダージリンさんの姿だった。戦車道について素人の僕でも、その時の彼女が如何に魅力的で輝いていたかよく分かった。
その時の彼女の美しい姿に衝撃を受けて以来、寝ても覚めてもダージリンさんのことを考えるようになってしまった。また会いたい、もう一度あの姿を見たい、そんな思いはいつしか、彼女に対する恋心へと変わっていた。
そして今日、ついにその思いを抑えきれなくなり僕は聖グロリアーナ学園へとやってきた。彼女に想いを伝える為に…。
と言ってもその想いが報われるなどとはこれっぽっちも思っていなかった。彼女からすれば、僕など何処にでもいる男の一人でしかないだろう…。とにかく僕が好意を抱いていることを知ってもらえればそれでいい。そういうつもりでの告白だった。
だからその後しばらくして、彼女から返事をもらった時は本当に驚いた。

「はい。よろしくお願いいたします」

彼女への告白に対し、まさかのOKをもらえた翌日。早速彼女が僕の家に来てくれることになった。ダージリンさん曰く、付き合う以上相手のことを何でも知っておかなければならないとのことだったが、あまりに突然の展開だった為前日に急いで部屋を掃除する羽目になった。まさかこんなにも早く憧れの人が僕の部屋にやってくるとは…。
ことの重大さに気づき全身に変に力が入った。当然彼女と手を繋いで家まで案内する動きもぎこちなくなる。それでも何とか僕の家に辿り着き、彼女を中に招き入れる。