石上を庇って骨折した伊井野ミコ。

ある日彼女は非常~にムラムラしていた。

「石上、ちょっといい?」

罪悪感や責任感で彼女の日常生活を手伝っていた石上を電話で生徒会室に呼び出し、準備を始める。

しばらくして石上は部屋の重い扉を開いた。

「どうした伊井野、今日は昼食を友達と食べると言っていたのに」

「まぁいいから、はいこれ」

「ん?」

手渡されたのはボタンが2つとダイアルがついたリモコンだった。

「これは?」

「なんだと思う?」

暗い瞳で伊井野は石上を見つめる。

なんとなく察しがついていた石上は、渡されたリモコンを机に置きもう一度尋ねた。

「これは?」

しかし伊井野は答えずに、リモコンを手に取ると説明し始めた。

「左がON、右がOFF、ダイアルで強さを変えられ……」

「そうじゃなくて!」

石上の声にビクッと身体を強ばらせる伊井野。

「なんだよ、なんで俺に渡すんだよ……当てつけか?」

「ち、違う……そうじゃないの、聞いて石上」

予想外の怒りに困惑し、しどろもどろになりながらも伊井野は真剣な面持ちで説明した。

言っていること、やっていることは素っ頓狂であったが、石上も黙ってそれを聞く。

「……わかったよ」

そう言うと石上はリモコンを手に取り、すぐさまスイッチをONにしダイアルをMAXまで上げた。

「はぅっ!」

そして内股になった彼女を見て歯を食いしばりながらOFFにする。

「そうだな、スリリングだな。こんなもの仕込んで受ける授業は」

「はぁ、はぁ……」

想像していたよりも刺激的で、伊井野は顔を紅く染め、息を荒らげて石上の言葉を聞いていた。

「まぁいいさ。やってやるよ、やればいいんだろ」

「う、うん……お願いしま……あぁっ、そ、そんな急に!」

言葉を遮るようにONにし、生徒会室を先に出た石上はリモコンを見ながら深いため息をついてスイッチを切った。

「くふっ、はぁ……ほんと私何してるんだろ……」

残された伊井野はといえば、生徒会室で1人反省していた。

罪悪感につけ込むなんて人として最低だ。きっと幻滅されたであろう。

子安先輩と石上が仲良くしていた時のあのモヤモヤも、その後二人の間に何もなく終わったと知った時のホッとした気持ちも、きっと私は……

そこまで考えて、考えるのをやめ、教室へと向かった。

もちろんローターは仕込んだままだ。

「……ふふっ」

後悔と罪悪感で押し潰されそうになる反面、秘密を共有できることが嬉しかったのかもしれない。

見つかれば2人揃って即破滅、そんなリモートプレイが、今始まる。