若い検査技師の前原はそわそわしていた。
きょうは愛しの伊吹マヤが身体検査に来る。
彼女にひと目惚れして片想いだが、検査できるとは役得だ。
そこへベテラン技師の市川が来た。

「きょう、マヤちゃんの検査だって?」
「まあ、はい」
「どんな検査するの?」
「心電図を撮ります」
「おめでとう」市川は危ない笑顔で手を差し出した。「心電図は女子も裸になるからな。おめでとう」
「僕はプロですよ。何がおめでとうですか」
「バカ、好きな子のオッパイ見て喜ばないなんて、技師合格かもしれないけど人間失格だぞ」
「いいですよ人間失格でも」
「エコー検査は?」
「やりますよ。腹部エコーと心エコー」
「心エコー!」市川の目が丸い。「おめでとう」
「もういいですよ」まじめな前原が顔をしかめる。
「心電図は1分くらいで短いけど、エコー検査は15分くらいかかるからな。たっぷりオッパイを拝めるぞ」
「最低ですね」前原が呆れる。
「俺が検査しようか?」
「ダメですよ!」前原は全身で拒否した。「僕がやります」

そこへ伊吹マヤが来た。
病衣姿だ。
仕事中の服装しか見たことがない女子が病衣を着ているとギャップ萌えになる。

(可愛い・・・)

前原は思わず見とれた。
短めな髪がよく似合う。
顔は文句なく可憐で可愛く、スリムでセクシーだ。

(エロい)

前原だけでなく市川も感動していた。
病衣姿のマヤを見た市川は、妄想の中で彼女を全裸にして、ベッドに両手両足を大の字に拘束した。

「きょうはよろしくお願いします」

マヤはまさか妄想の中で丸裸にされているとは夢にも思わず、明るく爽やかに挨拶した。
女性は医師や検査技師やマッサージ師を信用している。
間違っても卑猥なことをしないという前提で薄着にもなるし、あるいは裸にもなるのだ。
しかしこの時、市川は悪魔の心が芽生えてしまい、自分がマヤの検査をしようと心に決めた。