暗い洞窟に入ろうとしたマァムを見て老人が声をかけた。

「お嬢さん」
「はい?」マァムは振り向いて老人を見る。
「この洞窟には入らんほうがいい」
「人を探してるんです」
「この洞窟にはゴブリンが出没するという噂じゃ」
「ゴブリン?」

ゴブリンは残忍と聞いている。
大勢のゴブリンに洞窟で襲われたら危ない。

「ありがとうございます。気をつけます」

老人は改めてマァムを見た。
ピンク色の髪が特徴のとびきりの美少女。
ただでさえ可憐なのにこの薄着をゴブリンが見たら危険だ。
間違いなく嬲られてしまう。

「悪いことは言わない。娘一人で洞窟に入るのは危険じゃ」
「危険ならなおさら、はぐれた仲間を探さないと」マァムは明るい笑顔で拳を見せる。「大丈夫です。ゴブリンが出没したら鉄拳を食らわせます」
「腕に覚えがあるのか?」
「失礼します」

マァムは先を急いだ。
仲間が心配だ。

少し進むと背後から気配を感じた。
マァムは鋭い眼光で睨み、両拳を構えた。
暗闇から出て来たのは、3メートル以上はある巨漢。
鬼のように一本の角をはやし、一つ目だ。
両耳はとんがっていて青い肌の半裸のモンスター。
手には切り株が見える棍棒を持っている。
マァムは怖い目で睨みつけた。

「ギガンテス!」
「ぐへえ、俺様の名前を覚えていたとは光栄だ」
「おまえ、喋れたのか?」
「バカにすると泣かすぞ」
「何か用か?」マァムが睨みながら聞く。
「マァム。おまえは確かによくピンチになってハラハラドキドキさせてくれるが、まだハードなエロリョナといえる本当のヒロピンには遭遇していない」
「何を言ってる?」
「全国のヒロピンファンはマァムが絶体絶命の大ピンチに堕ちることを期待しているのだ。だからこの俺様が皆の願望を叶えようと思ってな」
「遺言は終わったか!」

マァムが突進する。
ギガンテスが棍棒で殴打しようとするが、マァムが空中高く飛び、目にハイキック!

「NO!」

一撃必殺。
ギガンテスは倒れて動けない。
両拳を握り、気合を入れるマァムだが、後ろから殺気を感じた。

「え?」

振り向くと、大勢のゴブリンらしきモンスターが淫らな笑顔で見ている。

「何だ貴様ら!」マァムが怒鳴る。
「助っ人だ」
「死にたくなければ消えろ」
「消えねえ」

数が多過ぎる。
一旦洞窟の奥に逃げるか。
マァムが走り出すと倒れていたギガンテスがマァムの足首をつかんだ。

「貴様!」