自室のベッドの上で目を覚ました時、平沢憂がまず覚えたのは違和感だった。自身の下腹部、より正確には下着の中に収まっているはずの股間部分に、今までにない圧迫感を覚えたのだ。まるで何か、太くて硬い筒状のものを無理矢理押し込んでいるかのような…。
一切正体の分からないその感覚に、憂は不安を抱きつつ下着の中を覗き込んだ。そして目に入ったものを見て絶句する。
本来なら毛しか生えていないはずのそこにあったもの。それは全体が厚めの皮に包まれているものの、先端からのそのすぐ下のくびれ部分にかけては皮の届いていない、先の丸まった太い円柱状の何かだった。いや…『何か』と言うには、憂はそれが何なのかを知り過ぎていた。それは間違いなく…。

(う…嘘。えっ…こっ…これって…お…おちん…ちん…だよね。何で…何でこんなものが私に…)

試しに先端を指で少しだけ触ってみる。するとその部分から、痛みにも似た感覚が突き抜けた。

「あっ!」

予想だにしなかったことゆえ、不覚にも一人声を上げてしまう。
皮に包まれていない部分は敏感なため、触るときにも注意が必要だと聞いたことはある。しかしその刺激がこれほど強いとは思わなかった。
これまでに本やネット、友達との会話の中で男性器に対する多少の知識を身につけていた憂。だがそこからイメージしていた男性器と、彼女が実際に目にしているモノとはかなりの差異があった。特に大きさと硬さが…。

(これって…この大きくなってるのって…あ…朝勃ちって言うんだよね。こんなに…大きくなるの?しかも…すごく硬い。骨とか…入ってないんだよね…)

本来なら他人のモノを見た時の反応だが、憂は他でもない自分自身の股を見ながらそんな事を考える。そこで彼女はふと気付き、自分の胸に慌てて手をやる。そこにあるのは触り慣れた柔らかい感触。

(お…おっぱいは変わらないみたい…)

どうやら彼女の体の大部分は今までと同じ。ただ股の部分に肉棒が生えただけのようだ。

(でも何で…何でこんなことに…)

必死に状況を整理しようと頭を回転させる憂だったが、このような突拍子もない出来事に、合理的な答えなど見つかる筈もない。ただただ頭を抱えるのみだった。

(どうしよう…こんな体で…これから一体…どうしたら…)

ベッドの上で一人途方にくれる憂だったが、その脳内にある人物の顔が浮かんだ。

(そうだ!こんな時は…)

一転して希望に満ちた表情を浮かべる憂は、バタバタとその人物のもとへと駆けて行った。