冷たい川も新鮮だが、やはり温泉は最高だ。
日暮かごめは一糸まとわぬ姿で秘湯を満喫していた。

「あああ、気持ちいい」

現代ならともかく妖怪が蠢く戦国時代なのに彼女は油断していた。
冒険心旺盛で警戒心皆無なのは官能サスペンスのヒロインとしては百点満点だが。

「ん?」

背後に気配。
かごめは恐る恐る後ろを見た。
そこには巨大な蜘蛛がいた。

「しまった!」

かごめは裸のまま逃げようとしたが、糸が無数に飛び出して来る。

「あああ!」

かごめは裸のまま両手両足を拘束されてしまった。
蜘蛛の巣では激しくもがけばもがくほど拘束がきつくなる。
身動できず完全に無抵抗にされた全裸のかごめに、巨大蜘蛛が接近する。

「イヤ、犬夜叉!」

犬夜叉は来ない。
まさかここで終わるのか。
裸のまま蜘蛛に食べられてしまうのか。
そんな最期は想像できない。
かごめは諦めずに暴れた。

「くううう、んんんんん」

そこに現れたのは仲間ではなく赤い瞳の美人妖怪。
白い羽に乗って飛んで来た黒髪の女は、神楽だ。

「あれは、かごめ?」

かごめが全裸で蜘蛛の巣に拘束され、今にも巨大蜘蛛に襲われそうになっている。

「あーら悲惨」

最初は高みの見物を決め込もうと思った神楽だが、かごめを裸のまま生贄にして連れて行けば、奈落は喜ぶかもしれない。

「面白そう」

神楽は風に乗って蜘蛛に近づき、切り裂いた。
蜘蛛は絶叫すると、慌てて森の中に逃げて行った。

「あっ神楽!」かごめは目を丸くする。
「かごめ。随分といい格好だなあ」
「くっ」

かごめは赤面しながらも神楽を睨む。

「礼はいらないよ。助けたわけじゃないから」
「え?」
「おまえを裸のまま奈落のもとへ連れて行こう」

そんなことされたら、絶対に困る。