「や、やめようよ、アスカ……」

 弱々しい声で呟くシンジを睨みつけるように見つめて微動だにしない。
 言外に早くやれと伝えているのは明らかであり、それはもはや提案やお願いではなく命令だ。
 アスカは毅然とした態度で黙っていて、意思を変える様子はない。あまりに強い眼差しにシンジは動揺を隠せず、反抗したのを後悔して俯いてしまった。

 「いや……でもさ」
 「うるさい。いいから早くしてよ」

 ぴしゃりと遮られてしまって、静かだが強い語気にシンジは肩をすくませ、怯えた様子で発言を止めてしまう。
 こうなったら彼女は頑固だ。言うことを聞くしかない。

 逆らう気になれないのは日頃から躾けられているようなもので、まるでペットを扱うかの如く、アスカは飴と鞭を使い分ける。
 機嫌がいい時はシンジの頭を撫でてやることさえあり、悪ければ蹴りつけることもある。気分屋な彼女を扱うことは難しいが、少なくとも逆らえばだんだん機嫌が悪くなっていき、最終的には無視されたり蹴られたりすることだけははっきりとわかっていた。

 本音を言えば、嫌だ。
 他のことならある程度の我慢はするが、そればっかりは。
 そう思いながらもアスカに睨まれているシンジは彼女の折檻に怯え、一つ屋根の下で暮らしている状況を思い返すと、いっそ言うことを聞いた方がいいと考えてしまう。

 嫌だという気持ちは晴れないまま、アスカに見られている状況下でいそいそと動き出す。
 場所は外。晴れ渡る日中、川を跨ぐ橋の下、照りつける日の光が届かない影の中。人目がないとはいえ野外であり、誰に見つかるかもわからない緊張感がある。
 シンジはゆっくりと服を脱ぎ始めた。
 外気に晒されてスースーする。シャツを置いて、ズボンを下ろすと下着だけになる。

 アスカの思いつきで、外へ行ってやってみよう、と言われた。室内での遊びに飽きた彼女は新たな刺激を求め、活動する場所を広げようとしていたらしい。
 日頃から彼女に従えられているような印象のシンジに逆らう手立てはない。それは流石にまずいのでは、などと思いながらも強気で言うことはできず、結局は言い包められて実行に移している。

 野外で下着姿になっているシンジを見て、アスカは興奮していたようだ。彼を威嚇する強気な表情ながらも、わずかに頬を紅潮させている。
 くいっと顎で示し、下着も脱ぐようシンジに指示した。

 「さ、流石にこれは……!?」
 「どうせ誰も見てないわよ」
 「そうだけど、でも、誰が通りかかるかわからないし……」
 「別にいいじゃない。あんたの裸なんて誰も興味ないし、見てもなんとも思わないわよ」
 「そんなっ、自分は脱がないからって……!」
 「いいから、さっさとやりなさい」

 口調からして、苛立ちが増しているのは明らかだった。表情を見れば間違いないと思う。
 反発できないシンジは仕方なく決断し、きょろきょろと不安そうに辺りを窺いながら、やがて恐る恐る自分の下着に手をかけた。

 ゆっくり下ろしていき、足から引き抜く。
 その下から現れたペニスはすでに上を向いていて、見るからに興奮した様子だった。
 恥ずかしい。外で裸になっただけでなくアスカに見られている。
 勝ち誇るようにアスカは鼻を鳴らして、喜色を混じらせ、シンジの裸体をじろじろ眺めた。

 「何よ。嫌そうだった割には喜んでるんじゃない」
 「ち、ちがっ……そういうわけじゃ」
 「自分の手でして。一発抜いたら許してあげる」

 命令するように、待ちきれないからお願いするように、アスカは小さくため息をついた。
 反論しても意味がない。体の反応は正直で、指摘されてしまえば言い逃れできる隙などなかった。
 シンジはそっと自らのペニスを握り、いつもそうしているように上下へ擦り始める。

 シンジは童貞であった。
 同じ家でアスカやミサトと暮らしていて、劣情に苛まれることもある。そんな時は自室を暗くして、寝ているふりをして自らを慰めたものだが、偶然アスカにその現場を見られてしまった。普段は家に一人でいる時を狙っていたのに、大丈夫だろうと高を括っていたのがいけなかった。
 その日を境にアスカは発言力を強め、シンジは彼女に従うようになった。

 勃起しているペニスを右手でシコシコと擦る。
 彼女の前でこうするのは何度目だろうか。アスカの命令に従い、彼女の目の前でオナニーして射精したことは数え切れない。
 或いは、アスカの手で絞り出されたこともあった。彼女は決して服を脱がず、自分の裸は見せずに、口で銜えることもしなかったが、服を着たままパンツだけを脱いで、まだ温かいそれをペニスに被せて扱くことはあった。
 自分が変態的な行為をしているという自覚に興奮し、反面、シンジを蔑むような目で見るのが常だった。

 まるで彼女の玩具みたいだと、シンジはペニスを扱きながら考える。
 感情とは裏腹に気持ちいい。
 誰かが通りかかって見られてしまうのではないか。その心配も興奮に繋がってしまい、ペニスはさらに硬く、大きくなっていく気がする。

 「嬉しそうじゃない。嫌がってたくせに」
 「そ、そんなこと、ない……」
 「嘘つき」

 静かにアスカがシンジへ歩み寄った。
 差し出された右手は躊躇いなく彼のペニスを掴んで、払いのけるように本人の手をどけ、しっかり握って上下に擦り始める。
 シンジがうっと声を詰まらせた時、アスカはつまらなそうにフンと鼻を鳴らした。

 「あっ、ちょ、ちょっと、待って……!」
 「ガチガチ。相変わらず租チンだけど」

 ぐいぐいと遠慮なく動かされるため、シンジは悲鳴のように断続して声を漏らすのだが、アスカは一切手加減しなかった。
 いつしかぐちゅぐちゅと音が鳴る。シンジが分泌した体液がアスカの手に絡みつき、ペニスを扱かれる度に鳴っているのだ。
 余った包皮をこれでもかと動かして、アスカは彼のペニスを凝視していた。

 自分の体液に濡れるペニスは硬くそそり立っている。
 みじめな奴。
 アスカがシンジを見る目は冷たい。

 突然パッと手を離して、興奮し切った様子のペニスがふるりと震えたのを眺める。
 シンジは途中で止められたせいで苦しそうにも見える表情だったが、アスカはつまらなそうに口を噤んでしまい、何もしなくなってしまう。
 ただ裸で立たされて、不安が増したシンジは恐る恐るアスカの表情を窺った。

 「あ……アスカ? あの……」
 「つまんない。もう飽きた」
 「え?」
 「こっち来て」

 そう言ってアスカはシンジの傍を離れて行った。
 来いと言われてもまだ昼間で明るい。遠くからでも見られてしまえば何をしているのかはわかるだろう。裸の少年が、勃起しながら外に立っているのだ。良い状況になるはずがない。
 恐怖するシンジは立ち尽くして動けなくなるのだが、立ち止まって振り返ったアスカは睨みつけるようにシンジを見ていて、逆らうことはできそうになかった。

 足取りは重いが前進する。
 橋の影を離れて日の光の下に出る。
 恥ずかしい。恐ろしいほど一気に羞恥心が襲い掛かってくる。しかしそのせいか、勃起したままのペニスはさらに伸びるようにぐぐぐっと揺れていた。

 連れ出されたシンジは靴だけを履いて、あとは裸で、肌に直接風を感じている。
 なぜだか知らないが今すぐ射精してしまいそうだった。
 シンジは独りでに呼吸を乱し、隠すためにも思わず自分の体を抱きしめた。

 「どう? 今どんな気持ち?」
 「は、恥ずかしいよ……今すぐやめたい」
 「じゃあ、私が口でしてあげる。それならどう?」

 にやりと笑い、アスカがそう言った時、シンジの体はびくっと跳ねていた。
 嫌だという気持ちに嘘はない。しかし咄嗟とはいえ、たった一言で嬉しく思ってしまって、その変化は見事にアスカに見抜かれてしまっていた。
 ごくりと喉を鳴らした後、シンジはおもむろに頷く。

 「じゃあ、もっとこっち来てよ」
 「う、うん……」

 もはや周りのことも気にならない。
 シンジはアスカが立つ場所まで近付いていった。すると、彼女は笑みを深め、目の前にシンジが立った途端、何も考えずに足を振り上げた。

 どすっと刺さるようにして足先で股間を蹴りあげる。
 その瞬間、射精していた。
 激痛が走り、面白いように姿勢が変わって、抑えられない低い悲鳴を発しながらその場にへたり込む。
 痛みと苦しみを味わう一方、彼のペニスはまるで嬉しくて堪らないと言わんばかりにびゅくびゅく精子を吐き出していて、地面に落としている。
 アスカはその姿を見下ろし、楽しくて仕方がなさそうだった。

 「うあぁ、あぁぁ、ああああっ……!?」
 「あははっ。バッカみたい」

 両手で股間を押さえて跪くシンジを見下ろし、満足した様子のアスカは荒々しく俯いた頭を掴み、ぐりぐりと力を入れて撫でてやる。
 どうやらシンジは泣いていたようだ。だがアスカが頭を撫でても泣きやむ様子はない。

 「気持ちよかったでしょ? いっぱい出したんだし」
 「こ、んな……なんでっ……」
 「イケたんだからいいじゃない。それに口ではしてあげるわよ」

 そう言った直後、アスカもしゃがんで、驚く暇も与えずに彼の両足首を掴むと持ち上げるようにして転ばせた。無理やり足を開かせ、蹴りあげた玉とペニスを確認した。
 なんだかんだと言う割には、またしても勃起しているではないか。
 にっと口の端を上げたアスカはさらに力を入れてぐいっと押さえつける。

 「ここで初めてフェラされるなんて忘れられないでしょ? 私がここまでしてあげるんだから感謝しなさい」
 「あ、ちょっ……あっ、うあっ」

 ちんぐり返しの態勢でペニスを銜えられ、あまりの衝撃にシンジは一瞬にして幸せに包まれた。痛みや辛さも残っているが、そんなことよりも彼女の行動が嬉しくて堪らない。
 結局シンジは、外でされる羞恥心も、彼女の気まぐれによる乱暴な行動も忘れて、いつものようにアスカの言いなりになって、初めて彼女の口で射精させられてしまっていた。

FIN