ねっとりした空気が湿っぽくも妙に熱く、何もせずにいても汗をかかずにはいられない。ましてや激しく動いた後なら尚更だ。
 はあと吐き出したため息まで熱を持っている。エアコンは機能しているはずなのだが、設定温度が想定よりも高いのか、効果がないように思えてならない。
 かといって窓を開けるわけにはいかなかった。声が外へ出てしまうとまずいからだ。

 もう一度ため息をついた我那覇響は額を濡らす汗をタオルで拭った。
 点けっぱなしだったテレビではさほど新鮮にも感じないワイドショーが流れている。芸能人の不倫問題や熱愛報道、政権批判に執心していて、変わり映えもしないのにいつものように騒がしい。
 なんとなく気分が優れず、チャンネルを変える。

 アイドルという立場の人間が恋愛報道などされたらどうなるのだろう。
 ましてや、こんな状況を知られたら二度と仕事ができるはずもない。
 響は先程から絶えることのない音の出所を確認して、くぐもった声を改めて聞いた。

 「んっ、んっ、ハニー……! 気持ちいい? 美希の体、気持ちいいよね? えへへ」

 こんなアイドルの姿を見て、一体誰が応援するというのか。
 星井美希は、プロデューサーと汗を掻きながら裸で抱き合い、ペニスを膣に突っ込まれて一つになっている。腰を動かす度にぐちゅぐちゅ体液が掻き混ぜられて、ソファに染みを作っていた。

 響は思わず呆れた目で二人のセックスを眺める。
 彼女は友人で同僚で、同じユニットのメンバーでもあるのだが、人のことは言えない。眺める響もまた同室に裸でいたからだ。
 ソファに凭れかかって座り、隣に座る四条貴音が、先程から嬉しそうに股を優しく撫でている。クリトリスをそっと転がし、濡れた膣の入り口を指が出入りしてちゅぽちゅぽ小さな音がする。そうしながらも小さな膨らみの胸を握り、乳首に舌を這わせていた。

 丹念で執拗な愛撫。しかし美希が終わるまでの間、一度として休まずに全身をまさぐられているのは、心地いい一方で辛いものがある。
 部屋を満たす異様な熱気も、体が異常に熱いのも、こうした行為のせいだろう。
 貴音は特に楽しそうで、プロデューサーと美希の動向を気にしながらも響から離れない。

 くいっと奥まで差し込まれた指が曲げられた途端、響の体がびくっと跳ねた。
 一体いつまでこんなことを続けられるのか。焦れた様子で響が深く息を吐き出した。

 「響、軽くイキましたね?」
 「い、イってない」
 「我慢しなくていいのですよ。どうして欲しいのですか?」