スポーツクラブから帰宅しシャワーを浴びた真一は、昨日大学にて友人から借りたDVDをセットし、冷蔵庫からビールを手に取ると再生ボタンを押した。

(面白いって言ってたけどどうなんだろうな……ん?なんだこの注意書き)

本編が始まる前の画面には、お馴染みのコピー禁止の他に性描写やら18歳未満視聴禁止やらの文言が並んでいる。

(まぁ演出的なものだろ、多分)

不穏な空気を払拭するかのごとく缶のプルタブを引き、軽く1口煽る。
いよいよ始まった本編だが、女の子と散歩しているシーンから始まった。

他愛もない会話と見覚えのある風景。

(あれ、これうちの近くじゃね?)

ぼーっと眺めていたはずの映像を、真一は食い入るように見つめる。
するとモザイクはかかっているが見覚えのあるシルエットが近くを通った。

(宇崎じゃねぇか、間違いなく近所だなこれ)

『あっ、こーら、よそ見しちゃダメだぞ?』

画面内の女の子がカメラに向かって注意する。

(なるほど、デートしてる設定なのか。たしかアイツ目立つからな……)

見た目だけなら多分可愛い部類だろう映りこんだ後輩を思い浮かべながら、再びぼーっとDVDを眺める。

しばらくして映像は暗い路地へと入り、女の子が急にしゃがんだ。

(やっと進展があったか……)

退屈な日常パートが終わりいよいよ何か起きるのか?と期待したが、予想とは違う進展がおきた。

『じゅぶっ、ずろろっ、えへへぇ、おちんちんカッチカチらよぉ?』

(これAVじゃねぇか!)

衝撃を受けつつ慌ててリモコンを操作し停止ボタンを押そうとする。が、手が缶ビールに当たって倒してしまい、中身がテーブルに広がってしまった。

(あーもう!とりあえず拭くもの拭くもの……)

停止ボタンを押しそびれた上にスキップボタンを押してしまったために今画面ではホテルにて女の子が愛撫されているシーンになっていた。

『はぅんっ、乳首きもちぃよぉ』

(お、あった、ティッシュティッシュ)

映像に構うことなくティッシュでテーブルを拭き、ついでにこぼした時に濡れたズボンを脱ぐ。

『くぅんっ、ねぇ、ここも触って欲しいなぁ?』

(あーあ、また着替えないと……)

まさにその時、ガチャガチャと玄関の扉が不穏な音を響かせる。

(まさか!)

「おっじゃましまーす!先輩、今日はカレー作る……っす、よ?」

「宇崎っ、違う、誤解だ!」

『あぅんっ、いじわるしないでぇ』

AVが流れる画面、左手にはティッシュの束、そして露出している下半身。
宇崎花が真一の部屋に入ったのは、まさに最悪のタイミングだった。