「ツー君やリボーン君に美味しいもの食べさせなくちゃ♪」

 両手に大量の買い物袋を提げて鼻歌交じりの沢田奈々。ボンゴレ門外顧問組織・チェデフの親方である沢田家光の嫁であり、次期ボンゴレファミリー10代目ボス候補である綱吉を息子に持つ。

 「ハンバーグがいいかしら? それとも……」

 薄ピンクのワンピースに身を包んだ奈々が、栗色の髪をなびかせながら帰りのバスを待っていた。

 「はぁ、どうして僕がこんなことを……。 どうせお金にもならないのに……」

 愚痴をこぼすのは、マーモン。霧のアルコバレーノでありながら、ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーに所属する霧の守護者でもある。リング争奪戦に敗れた腹いせに復讐を企てるものの、目立つような行動を慎むよう9代目から厳重注意を下された。しかし、このままでは腹の虫が収まらないため、ボンゴレファミリーに近しい人物を標的に、憂さ晴らしをしようというものだった。その役割にマーモンが選ばれたが、報酬を得られない仕事に仕方なく、上空から奈々の様子を観察していたのだった。

 「仕方ない、ボスの命令だしね。 このまま眺めてても面白くないや……」

 バスが到着するや否や、マーモンがいたずらを開始。

 「あら? いつもはこんなに混んでないのに」