有里湊は謎が多い男子生徒だった。
 いつも起きているのか判断が難しい眠たげな目をしていて、体の線は細いが意外にもしなやかな筋肉がついているらしく、水泳部の活動をしている際は泳ぎのフォームや速さを高く評価され、学校のテストを受ければ人並み以上の高得点を取り、運動全般も得意とする他、体に見合わず大食いだ。
 それでいて自己主張に欠けており、日頃から物静かで、口数は少ない。何を考えているのかわからないとは同じ学校、同じクラス、隣の席に座る生徒からの評価であった。
 友達は少なく、限られていて、しかし意外な交友関係を持っているようで、町中で見かけて驚かれた経験も少なからずある。

 湊は敢えて自分のことを他人に語ろうとはしない。だから謎が多いとも称されるのだ。
 そのおかげで、言ってはいけないだろうことも秘密にできている。
 彼の思考を知る者は少なかったが、少なくとも、食欲、睡眠欲だけでなく、性欲も旺盛だったのである。

 湊は多くの女性と関係を持っていた。
 唆されたと言うべきか、原因はエリザベスという人物にあるのだが、彼自身もその状況を楽しんでいたのは間違いない。

 「え、何? またやるの? 別に、いいけど……」

 声をかけたのは同級生で友人の岳羽ゆかりだ。
 ギャルと呼んでも差し支えないような人物と派手な制服ではあるものの、男嫌いである一方で意外にも湊には心を開いている節がある。
 自覚のないツンデレなのか、素直になれない姿は多く見られたが心の内はよく見て取れた。
 少なからず好かれているのだろうと湊は自覚している。

 彼女を連れていったのは学校の屋上だった。
 湊は時々、スリルを求める癖があった。時には教室、トイレの個室、寮の談話室、或いは町に出かけて路地裏など、誰かに見られるかもしれない場所へ女性を連れ込むことがあった。
 大抵は自室のはずなので、それを嫌がる女性もいる。

 「こんなとこでするの? ほんっとに、バカじゃないの?」

 あからさまに苛立っている様子のゆかりであったが、絶対に突っぱねて断ることはしない。口では文句を言いながらも、湊には気持ちよくなってほしいようで、最後には言うことを聞いてくれる。
 今日もその通りで、湊のお願いに自信無さげに頷き、いそいそと地面に膝を着いた。

 かちゃかちゃとベルトを外す音がして、ズボンと一緒にパンツまで下ろされた。
 露わになった下半身で、一際目立つのがやはり勃起しているペニスであり、目と鼻の先でそれを見たゆかりは頬を赤く染める。
 何度見ていようと恥じらいは隠せない。それが彼女の良いところだ。