ピチャピチャ。ピチャピチャ。
 遠くから私を呼ぶように水音が間断なく続いていました。
 頭の中がふわふわとして、何も考えられません。
 不意に雷に打たれたような甘い痺れが全身を走り、そこで私は覚醒したのです。 
 目の前に靄が掛かったように、ぼんやりとはっきりしません。

(…あ、あれ……? 私は……、な…なぜ……はだかなのでしょう……?)

 それでも、私の身の上に起こっている異常に気づくことはできました。

「……っ! ……えっ? い、いやっ…」

 服がすべて剥ぎ取られ、生まれたままの姿になっていたのです。
 それだけではありません。私の下腹部にはぴったりと男性の頭がくっついています。
 咄嗟に手を下ろそうとするのですが、ガチャリという金属音が頭の上でするばかりで全く動かせません。
 視線を上げて手元を確認すると、両手首には手錠がはめられており、ベッドに固定されていました。

「あっ…! っ…」

 再び甘い痺れが背筋を走り、私は我慢できず声を漏らしてしまいました。
 ナメクジのような何かが、陰部を間断なくもぞもぞと這いずり回っています。
 私はそのおぞましさに背筋を凍らせてしまいました。

「っっ…! …やっ…、めっん……、て、くだ…っ…っあん、さっいっ」

 なんとか拒否の声を上げるのですが、それでも幾分か甘い声が混じってしまいます。
 その声に反応したのでしょう。
 白髪交じりの男性の頭がぴくりと動きます。
 そして、ゆっくりと上げられた顔を見た瞬間、私は絶望の淵にたたき落とされたのを感じました。
 そう、私の陰部に顔を埋めていたのは、敬愛する叔父だったのです。
 私の股間から顔を上げた叔父は、舌から唾液を垂らしながらおぞましい笑みを浮かべました。

「おはよう、文香。……目が覚めてしまったんだね」
「おっ…叔父さん……。…ど、どうして……」

 叔父がこのような凶行に出てしまった理由がわからず私は困惑していました。
 今日は叔父の古書店にアルバイトに来て、それから……。
 コーヒーを一杯頂いたところで記憶が途切れていることに気がつきました。
 まさか叔父が何か薬を盛ったのでしょうか。
 到底信じたくはありませんでしたが、こうして叔父から辱めを受けていることを考えれば、疑いようもありません。

「どうして? お前を抱きたいからに決まっているじゃないか」

 何を当たり前のことを、と言わんばかりに私を叔父は嘲笑うのでした。